BOB DYLAN/Day of the Locusts(蝉の鳴く日)

暑い日々が続いている。

ようやく最近蝉の鳴き声を聞くことが多くなってきたけど、
それまでは蝉の声はあまり聞こえなかった。
蝉は、気温が35度以上の暑い時には鳴かないのだそうだ。

気温が高くて蝉が鳴かないってのは危険信号なのだと。
それだけ暑い日々だってこと。

蝉というと、ボブ・ディランの『 Day of the Locusts(蝉の鳴く日)』の曲を思い出す。
この曲は、1970年に発表されたアルバム『 New Morning(新しい夜明け)』の2曲目に収録されている。

この曲は、当時ディランがプリンストン大学で、
名誉音楽博士号を授与された時のことを歌った曲で、
大学側は、学生に人気のあったディランに学位を授与することで、
大学が世間の話題になることを目的としていた、なんて話もあった。

そんな授賞式に出たディランだったのだが、
盛り上がっているのは大学側のお偉い方ばかりで、
本人はどこか他人事のように捉えていたらしく、
その時、大学の外では17年周期で大量発生する蝉が大音量で鳴いていたとのことで、
授賞式の心無い拍手より、外で鳴いている蝉の方が、
よっぽど自分のために祝福しているように感じたという思いがこの曲に込められている。

www.youtube.com

 

話は逸れるけど、蝉は周期的に発生する習性があるらしく、
日本の生物学者、吉村仁教授(静岡大学)が、
その謎を解明して、17年周期、13年周期で北米に大発生するセミ
素数ゼミ」と名付けたとのこと。

tenki.jp

日本では蝉の鳴き声だけではなく、虫の鳴き声に季節を感じたり、
生活の中の一部として捉えられていて、特に悪いイメージはないのだが、
外国ではそうではないらしい。

アメリカでは、蝉はうるさい害虫として嫌われているとか。
日本では昆虫を飼うっていう文化があるけど、
デパートでカブトムシやクワガタが売っていたりとか。
それはアメリカではありえないことらしい。

そのアメリカで昆虫好きな少女「ジェシカ・オーレック」の話を聞いたことがあって、
昆虫好きだと言うとアメリカでは、変人扱いされて肩身が狭かったけど、
日本では昆虫をペットとして飼うという話を聞いて、
「そんな夢のような国が地球上にあったんだ!」と、
日本を訪れることになり、
初めて見た「夢の国」日本では、
「ごく普通の人が、鈴虫とキリギリスの羽音の違いを識別できることに驚嘆し、
ホタルを悲恋の象徴と感じる文学性にクラクラした」
と。

kaoridon.blog68.fc2.com

その虫好きが高じて、古事記源氏物語まで遡って調べたりして、
彼女が言うには、日本人の昆虫好きの説明の結論として、
もののあはれがあるのだと。
もののはかなさに美を感じることが特徴的であるという文化。
「日本の人々は、虫のはかない命に美を感じます。アメリカ人に、その文化はありません」

そしてとうとう、日本人の昆虫好きの文化を知ってもらおうと映画を制作することに。

「 BEETLE QUEEN CONQUERS TOKYO 」(邦題「東京カブト」)

www.chicago.us.emb-japan.go.jp

asnyaro.blog129.fc2.com

日本人としては、特に昆虫好きだという意識はなかったけど、
確かに、子供の頃はカブトムシやクワガタ飼っていたし、
鈴虫もきゅうり与えて飼っていたりとかしたな。

蝉の鳴き声にしても、秋の虫の音にしても、悪い印象は特に無いし、
当たり前の季節の風物詩という感じでいたけど、
外国からみるとまた違うんだね。

それなのに、日本人はその特異な素晴らしい自分たちの文化に気づいていなくて、
アメリカよりも、自然破壊とか環境保全とかに無関心であることが、
なんだかとても矛盾を感じる。
それもなんだか日本人らしい一面という気もするけど。

 

あ、なんだか虫の話になってしまって、話が逸れちゃったけど、
ディランの曲の話に戻そう。

日本語タイトルとしては「蝉の鳴く日」となっているが、
原題は『 Day of the Locusts 』

「 Locusts(ローカストス)」という単語は調べると、「イナゴ」で、
「蝉」に使われることもあるのだが、
通常「蝉」は「 Cicada(シケイダ)」だという。

なぜ、ディランは「 Cicada 」とせず「 Locusts 」としたのか?

「 Locusts 」には、イナゴの大群というイメージがあり、
同じ蝉でも17年周期の蝉は大群なので、この言葉を使ったのでは?
とか、
旧約聖書には、制御不能な自然の力や大衆の暴発を象徴として、
「 Locusts 」という言葉が頻繁に登場するのだとか。

いずれにしても、ディランは意図的に「 Locusts 」という言葉を選んで、
伝統を誇る大学やアカデミーを含む人間の歴史が、
いかに小さく閉じた限界の中にあるかを示唆し批判し、
その外の世界での蝉の大音量の自然の大きさと力強さと、
その対比を表現しているという意味を込めている。

たぶん、面白く無い授賞式から早く解放されて、
外で(自分のために)蝉が鳴いている開放された世界に行きたいと思っていたのだろう。

歌詞の一部にも出てくる
授賞式が終わった帰りに恋人とドライブをしながら呟く

Sure was glad to get out of there alive
生きてそこから逃れられて本当によかった。

(和訳 by きいうし)

And the locusts sang, whoa, it give me a chill
Yeah, the locusts sang such a sweet melody
And the locusts sang with that high whinin' trill
Yeah, the locusts sang and they was singin' for me
Singin' for me, whoa, singin' for me

そして蝉が歌った、そう、ゾッとする気持ち
そう、蝉はなんて甘いメロディーを奏でるんだ
そして蝉たちは高い声で歌っていた
そうだ、蝉が歌ったんだ、私のために歌っていたんだ
私のために歌ってる、そう、私のために歌ってるんだ

(和訳 by きいうし)

実は自分は、今までこの曲をそれほど意識していたわけではなかったが、
今回、この記事を書こうと思って調べ直していたら、
改めて、色々な発見があった。

やっぱり、ディランって凄いな。

 

(2024/08/13追記)

ちなみに、2024年は、なんと素数ゼミの17年周期と13年周期が重なる年で、
これは221年ぶり! とのこと。

今年のアメリカ(特定の地域だと思うけど)は凄いことになっているらしい。

globe.asahi.com

ただ、このダブル羽化を経験できるのはとても貴重なことで、なにせ次は221年後だから・・・

それに、知らなかったけど、

蝉は「落葉樹林の生態系のとても重要な部分を担っている」らしく、

セミは飛ぶ能力に劣り、鳥のような捕食者にいとも簡単に捕まってしまう。かみつきもしなければ、刺しもせず、病原菌を運ぶこともない。むしろ、自然の植木屋さんといったところだろうか。

はい出てくる穴は土壌に空気を通し、雨水が地下に浸透するのを助け、夏の暑いときには樹木の根に栄養を与える。切り口がついた枝は折れて葉が枯れることもある。

しかし、そんな枝枯れ現象は自然の剪定(せんてい)のようなもので、木が生き残った枝を再び伸ばせば、より大きな木の実ができる。しかも、腐ったセミの死骸は、木の養分にもなる。

(上記リンクサイトからの引用)

とのこと。

相当うるさいとは思うけど、これも自然の神秘なので、アメリカの方々が寛容であることを願うばかり。

 

ある夏の空

ある夏の空

Perplexity(パープレキシティ)は新たな検索エンジンとなるか?

AIを融合させた新たな検索エンジンが登場して話題となっている。

Perplexity(パープレキシティ)

https://www.perplexity.ai/

先月2024年6月に、ソフトバンクがPerplexityと戦略的提携をしたと発表されたが、

www.softbank.jp

この検索エンジンがとても便利で、使い勝手も良く、今の時代を象徴している。

Perplexity

Perplexity

特徴としてはAIを活用した検索エンジンで、
ChatGPTのように、AIと会話を続けながら自分の欲しい情報を得ることができるもの。

しかし、ChatGPTとはまた少し方向性が違っていて、
あくまでも検索エンジンに特化している。

フォーカス機能というものもあり、
検索範囲を特定のカテゴリーに絞り込むことができたりもする。

フォーカス機能

フォーカス機能

AI検索であることで、検索結果表示の後に、
こんなことも次に聞きたいのでは? という候補が出てくるところも良い。

インターネット上から情報を入手してくるので、常に最新の情報が得られる。
ChatGPTとかだと、学習している特定期間までの情報が基本となるので、
今起きていることに対しての検索は少し弱いのである。

有料版であれば、複数のAI中から選択できるというのがポイントで、
無料のものはデフォルトしかないけど、
Perplexity課金している人は、それらを指定することもできるので、
複数AIからの検索結果の比較もできたりする。

AI選択

AI選択

そして、その結果の参照元となるサイトリンクも表示されているので、
自分で、結果が本当に正しいのかどうかの検証が行える。

生成AIが抱えるひとつの課題として、
ハルシネーション(間違っているのにも関わらず、AIがこれが正しいと回答してしまうこと)があるのだが、
このハルシネーション対策も考えられている。

やはり検索するという行為では、シンプルなインターフェイスが良い。

このシンプルさは、なんだかその昔、Googleが登場した時のことを思い出した。

Googleが登場するまでの検索エンジンYahoo!がメインで、Yahoo!はトップページにあらゆる情報が集約カテゴリ化されていて、その中から自分が得たい情報を選んでゆくという形式だったのだが、
どんどんそのカテゴリが増えてゆき、1画面にあまりに情報が多くなったことがデメリットと感じていた。

そこに登場したのがGoogleだった。

Yahoo!とは対照的に、トップページには、検索文字を入力するだけという、とてもシンプルなインターフェイスで、この形式がその後の検索エンジンの主流となっていった。
これが自分にはとても画期的に見えたことを覚えている。

知りたいこと、聞きたいことを入力する

やはり、検索するという行為は、この形に落ち着くんだろうな。

どんどん進化し続けているAIだが、
今度は「どう聞くのか?」という自分の行為が試されている気がして、
検索前にまずは、聞く言葉を常に考えてる自分がいて、
これはこれで、どこか少し気が重い・・・のは自分だけ?

そのうち、Googleは「ググる」と言われているが、
Perplexityは「パプる」と言われるようになるんだろうな。

Perplexity(パーブレキシティ)って、ちょっと呼びづらいよね。
名称もっとシンプルにすれば良かったのに。

と色々と思いながら、「パプる」行為を続けている自分でした。

 

最後にPerplexity自身に聞いてみた。

「Perplexityの利点は?」

Perplexity AIの主な利点は以下のとおりです:

  1. 日本語対応: 日本語での質問・回答に対応しているため、日本語ユーザーにとって使いやすいツールです[1][2]。
  2. アカウント登録不要: ログインや面倒な登録手続きなしですぐに利用できるため、手軽に使用できます[1]。
  3. 最新情報の提供: 最新のデータを基に回答を生成するため、常に最新の情報を得ることができます[1][3]。
  4. 情報源の明記: 回答には出典元が明記されるため、情報の信頼性を確認しやすくなっています[1][3]。
  5. チャット履歴の保存: 専用URLでチャットの履歴を保存できるため、後から参照することが可能です[1]。
  6. 高速な回答: 素早く回答を生成してくれるため、効率的に情報を得ることができます[4]。
  7. 多機能性: 画像検索、画像生成、ファイルのアップロードと質問、Chrome拡張機能としての利用など、様々な機能を提供しています[3]。
  8. 対話型検索: ユーザーとの対話を通じて、より詳細な情報を調べることができます[3]。
  9. これらの特徴により、Perplexity AIは効率的な情報収集やリサーチのための強力なツールとなっています。ただし、無料プランでは回答の信頼性が低くなる可能性があるため、より高精度な情報を求める場合は有料プランの利用を検討する必要があります[3]。

Citations:
[1] https://www.sedesign.co.jp/ai-blog/what-is-perplexity-ai
[2] https://www.ai-souken.com/article/perplexity-ai-explanation
[3] https://walker-s.co.jp/ai/what-is-perplexityai/
[4] https://jsmaho.com/chatgpt-perplexity/
[5] https://note.com/gentle_tern882/n/n9e00fbcd34ed

 

(Perplexityの回答より)


なるほど。しっかり有料版の利点もアピールしている。

 

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渋谷のモヤイ像はお休み中

渋谷のモヤイ像はお休み中

シンディ・ローパーの初来日公演

1986年9月、シンディ・ローパー( Cyndi Lauper )は初来日公演を武道館で行った。

その時、何故だか自分でもわからないが、チケットもないのに武道館へ足を運んだ。

シンディはファーストアルバム『 She's So Unusual 』(シーズ・ソー・アンユージュアル)の大ヒットの後、2枚目のアルバム『 True Colors 』(トゥルー・カラーズ)を発表した時で、
シンディの長い歴史の中でも、最高潮に乗っていて、
彼女の魅力が最大限に引き出されてヒットチャートを賑わしている時であった。

自分の記憶が定かでないけど、
この日本初公演はアルバム『 True Colors 』の発売前で、

このアルバム曲の初披露が日本公演だったらしい。

開場前の日暮の武道館では、入場を待っている人たちで溢れかえっていた。
もちろんチケットは完売で、当日券などない。

わかってはいたけど、チケット窓口にとりあえず足を運ぶと、
自分と同じように「もしかしたら」という気持ちで何人かの人たちが集まっていた。

ダメ元でチケット窓口に「キャンセル席とかありませんか?」と聞いてみたりしたが、
やはりチケットはない。

そのうち入場が開始され、待っていた人たちが武道館へ続々と入ってゆく。

まあ自分は武道館の外でわずかに漏れてくるだろう演奏を聞ければいいかな、
なんて思っていたら、
突如、「アーティストの意向で特別席が開放されたので販売開始します!」と。
チケット窓口になんとなくいた数人の人たちと一緒に「えーっ!」て。

当然、チケットを購入して、武道館に入ることに。

武道館は円形の舞台で360度席が設けられているけど、
コンサートの場合には、ステージ機材設置の関係で、
ステージ裏側の横というのは死角となるので、
この部分には観客を入れないのが通常。
ステージ真裏側だけは席を設ける場合もあるけど。
(この時も真裏席あったけど満席)

この時の特別席というのは、
真裏側横の死角部分にも客席を追加で設けたのである。
当然、席からステージはほんの僅かしか見えない。

けれど、この時のステージセットでは、真裏席の客のために、
シンディが裏側に回って行ける階段と通路が設けられていて、
真裏の人は常に背面を見ながらの鑑賞だけど、
シンディはその裏側の通路にも頻繁にやってきて、パフォーマンスを行う。

もう、シンディ動き回りまくりだからね。

だから、その真裏の通路にシンディがやってきた時には、
アリーナ席の一番前の人よりも近く、目の前でシンディを見ることができ、
手を伸ばせば届く距離なので、タッチする人も出てきたりとか、
花束を渡していた人もいたり、裏側ならではの特典があるのである。

このツアーのオープニングは、ステージ正面に白い幕を掲げて、
その裏側にいるシンディの影がスポットライトで白い幕に映るという演出。

裏側の席からは、その始まる前の準備というか、
シンディが控え室から出てきて、
スポットライトのポーズを決めて演奏を始めるまでの、一部始終が見れるのである。

これも裏側の特典。
ひょっとしてアリーナ席よりも価値があったかも。

で、自分の特別席というのは、その裏側の斜め横あたりなのだが、
特別席は空いていたので、一番前の席に移動しちゃったりして。

(この時何で一番前の席じゃなかったのかというと、チケット売り場の人が、一番前の方がステージ見えないから、少しでも見える席ということで割り当ててくれたのだけど)

ということで、シンディが裏側の通路を回って通る途中で、
もう手を伸ばせば届く距離で歌ってくれていた。

自分も手を伸ばしたが、あと数センチで届かなかった・・・残念😢

この人のサービス精神というのは本当に凄い。
360度の客に対して、なるべく公平に移動しまくって、
パフォーマンスを行う。

このツアーでのギタリストはリック・デリンジャーで、
この人、ジョニー・ウインターとよく組んでアルバム制作をしていたりした、
名ギタリストである。

どこからシンディ・ローパーと繋がりができたのかわからないが、
『 True Colors 』アルバムとツアーメンバーの1人で、大きな役割を果たしている。

リックもギター弾きながらシンディと一緒に裏側のステージ通路にやってきたりして、
彼のギタープレイは、この時のシンディにとても合ったロックサウンドを作り上げている。

で、YouTube見ていたら、この時の武道館公演のライブを見つけた。

youtu.be

今、改めてこの時のステージを見てみると、
一生懸命覚えたであろう日本語を乱発しているし、
裏側の通路ステージにも何度も来ているし、
1/4位は裏側で歌っていたのじゃないだろうか。

それに、シンディ自身が一番パワー全開でバフォーマンスをしている時で、
本当に素晴らしく魅力的で輝いている。

いやいや、武道館、チケットなくても行ってみるものだね。

シンディだからだったかもしれないけど、とてもラッキーだった。


そういえば、シンディと言えば、過去に、
アルゼンチンの空港トラブルでフライトが中止になり、
乗客たちが怒りをあらわにする中、
居合わせたシンディが懐かしの名曲を歌い始め、乗客の怒りを静める・・・
なんてことが話題になった。

gigazine.net

シンディと日本との繋がりは深く、
まだ売れない頃の下積み時代にニューヨークの日本料理レストランで働いていた。

その店のオーナーが定職もなく過ごしていたシンディに、
「そのままじゃダメだから私の店で働きなさい」と勧誘し、
「いつか売れる日が来るからそれまで頑張りなさい」と支援し続けてくれたことにとても感謝しているという。

その時の出会いがシンディを親日家にさせたきっかけでもあり、
このお店で片言の日本語を覚えたのだと。

2011年3月11日に起きた東日本大震災の時、
丁度日本公演に向かう飛行機の中で、日本に到着してその状況にショックを受けたとのこと。

この時、多くのミュージシャンはコンサートを自粛し帰国する中、
あえて、シンディは日本を勇気づけるんだとコンサートを決行。

youtu.be

その時のインタビュー記事もあった。
(インタービューは震災の1年後)

www.sonymusic.co.jp

初武道館公演の時は、初披露の曲『 True Colors 』を2回歌っている。

1回目はバンドサウンドで、2回目はアカペラで。
観客は初めて聞く曲なのに、みんな一緒に歌っている。
シンディも後のインタビューで、日本が好きになった理由のひとつに挙げていた。

『 True Colors 』名曲である。

 

日本初公演のツアーパンフレットとチケット

日本初公演のツアーパンフレットとチケット

「波ダッシュ」と「全角チルダ」の沼にハマる

何気なく使っている「~」の文字。
実はこの文字が結構問題となっていることに気づいた。

例えば日付や駅などの期間表示する時など。

2024/03/20 ~ 2024/05/20
昭和 ~ 令和
東京駅 ~ 品川駅

とか。

しかし表示上の見た目が似ているこの文字には実は2種類ある。

これ違う文字なのだ。
(わかりやすいように、以下からはマーカーで違いを表記)
 ↓

」 → 波ダッシュ「 WAVE DASH 」(U+301C)
」 → 全角チルダ「 FULLWIDTH TILDE 」(U+FF5E)

見た目じゃわからないよね。

だけど問題となるのは、文字検索をした場合など。
違う文字なのだから、どっちかしか検索でヒットしないことになる。

さらに、

Mac で「から」と変換→「 」(波ダッシュ)が出てくる
Windows で「から」と変換→「 」(全角チルダ)が出てくる

ということ。なんでこんな事になったのか?

どうも調べてみるとこの文字の意味の違いは、

波ダッシュ 」は、
日本語で範囲を表す際に使用される約物

全角チルダ 」は、
数学記号の一種で、「漸近的に等しい」ことを表し、
プログラミングでも使われる記号。

ということらしいのだが、
結局見た目でわからないから、やっかいで。

特に MacWindows でテキストのやり取りしているとしたら、
この二つの文字が混在することになる。

今はどちらのOSでも基本的な文字コードUnicode になっているので、
文字化けしないが、Mac波ダッシュを入力した文字が、
昔の文字コード Shift-JIS に変換した時に、
波ダッシュは文字化けを起こすが、全角チルダは文字化けしない。

自分が思うに、結論としては、

見た目同じに見える文字だけど、
波ダッシュと全角チルダは別文字である。
MacWindows とのやり取りで「 」「 」の文字を利用する際には、
違う文字なので気を付けること。

ってことかな。

最新のOSで利用している際には、見た目では特に問題にはならないけど、
文字検索や、アプリによって文字コードが Shift-JIS となっているものについては、
注意が必要で、その際には全角チルダ 」を使う事。

特に Mac は「から」変換で、波ダッシュ 」になるので注意すること。

とはいえ、現実的にそのアプリが Shift-JIS かどうかなんて普通わからないから、
」が文字化けを起こしていたら、それは波ダッシュなので、
文字化け解消には全角チルダ 」に置き換えること、かな。

Webサイトでこの文字を利用する際には、
文字コードUnicode に指定して、数値文字参照を使えば間違いない。

波ダッシュの場合「 〜 」
全角チルダの場合「 ~ 」

なんともやっかいな文字の話でした。

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見事なツツジ

見事なツツジ

あれ、君はどこから?

あれ、君はどこから?

ジョニー・ウインター/Highway 61 Revisited(追憶のハイウェイ61)

ギブソン・ファイアーバードがこれほど似合うギタリストはいない。

gibson.jp

「100万ドルのギタリスト」と呼ばれ1969年にデビューしたジョニー・ウインター

彼の独特なギタープレイは親指にサムピックを付けて演奏するスタイル。
ピックを使わないギタリストはたまにいるけど、
例えばジェフ・ベックマーク・ノップラーとか。

サムピックとは、主にアコースティックギターアルペジオ演奏で親指に付けるピックだけど、
これをエレキギターで使っているギタリストは珍しい。
そんな演奏スタイルから飛び出してくるのは凄いギタープレイ。

彼のライブはいつも最初から最後まで全力疾走で進んでゆく。
普通ライブは長時間だから、途中にバラードなどを混ぜて一息つかせたりするのだが、

ジョニー・ウインターにバラードの文字はない・・・

それでも、最初から最後までリスナーを引き込んでしまうのだから、やっぱり凄い。
ただ、体力使うけど、、、

そんな激しいライブだけど、聴き終わった後には何か爽快感というか、
どこかハイになっているのかもしれないけど、
後味は解放感というか、妙にすっきりしているから不思議だ。

彼は様々なミュージシャンのカバーを多く演奏しているけど、
その中でボブ・ディランの「追憶のハイウェイ61」は代表曲のひとつ。
これがまたカッコいい。

youtu.be

youtu.be

「追憶のハイウェイ61」とは、
1965年にアルバム『 Highway 61 Revisited 』(アルバム名と曲名は同じ)に収録されているボブ・ディランの曲。

1992年10月16日、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで行なわれた
ボブ・ディランのデビュー30周年を祝う伝説のトリビュート・コンサート、
通称「BOBFEST」(ニ―ル・ヤングが名付けたらしい)。

ここにジョニー・ウインターが登場するのだが、
颯爽と登場して「追憶のハイウェイ61」を全力で演奏して、
風のように去ってゆく・・・
これがまた言葉にならないくらいカッコいい・・・

「Revisited」とは「再訪」を意味するらしく、
意訳すると、

「またハイウェイ61に戻ってきた!」とか、
「やっぱりハイウェイ61だ!」って感じかな。

アメリカにとって、「ハイウェイ61」とは、
数々の物語がある、とても思い入れの強い国道らしい。

ミネソタ州からルイジアナ州まで南北に走る主要幹線道路で、全長約3,000kmの国道。
この道路沿いで、ブルースやロックのアメリカン音楽が発展し、
アメリカ音楽文化にインスピレーションを与えてきたシンボルでもある。

ロバート・ジョンソンは61号線と49号線の交わる十字路で悪魔に魂を売り渡して、
音楽の才能を身に付けたという「クロスロード伝説」。
映画にもなっているし、ロバート・ジョンソンの曲「クロスロード」を、
エリック・クラプトンがクリーム時代にカバーしていたりする。

ベッシー・スミスは「ハイウェイ61」で交通事故で亡くなり、
(搬送された病院が白人専用とのことで拒否され亡くなってしまう)

マーティン・ルーサー・キングは「ハイウェイ61」にあるモーテルで殺害され、
(ひとつの時代の変わり目となった)

エルヴィス・プレスリーの邸宅(グレイスランド)は「ハイウェイ61」沿いにある。
Googleマップで確認したら、正確には51号線沿いだけど・・・
 まあ、隣の幹線ということで)


そして、この曲の歌詞の内容について。

この曲では一見関係ない物語が次々と語られ、
全体で見るとなんだか繋がっている? いや、繋がっていないのか?
不可思議なディランお得意の歌詞で、ブルースロックテイストで演奏される。
意味というよりは、言葉のイメージとサウンドで組み立てられている曲である。
言葉のセンスだよね。

歌詞は5番まであり、ひとつひとつの物語が完結? して、
最後に「ハイウェイ61」で締めくくるという、ある意味ナンセンスな歌詞。

神とエイブラハムとの会話

【神】お前の息子を生贄に差し出せ
【エ】お前さん、私をからかっていますか?
【神】違う!
【エ】何て?
【神】お前の望むことができるぞ
だけど、次に会ったら逃げた方がいい
【エ】どこで生贄にすればいいのでしょう?
【神】ハイウェイ61の外れだ!

(意訳 by きいうし)

ジョージア・サムとハワードとの会話

赤鼻のジョージア・サムは、
福祉局からは衣服をもらえず、
ハワードに尋ねる。
【サ】俺はどこに行けばいいんだろう?
【ハ】一つだけ知っているさ
【サ】早く教えてくれ、もう行きなきゃならない
ハワードは銃で差して
【ハ】あそこだよ、ハイウェイ61だ!

(意訳 by きいうし)

マック・ザ・フィンガーとルイ王との会話

【マ】40本の赤白青(トリコロール)の靴紐と、
1000台の鳴らない電話があるけど、
それを捨てる場所を知っているかい?
【ル】少し考えさせろ
【ル】わかった、あそこなら簡単だ。
ハイウェイ61に持ってゆけばいい!

(意訳 by きいうし)

娘と父の会話

5番目の娘が12夜に1番目の父に尋ねる
【娘】私の顔色、とっても白過ぎるの
【父】こっちの明るいところに来なさい
【父】そうだな、確かにな
2番目の母にもう終わったと伝えておくよ
しかし、2番目の母は7番目の息子と
ハイウェイ61にいた!

(意訳 by きいうし)

ギャンブラーとプロモーターの会話

さすらうギャンブラーはとても退屈していた
次の世界大戦を仕掛けようかと
彼は落ちぶれたプロモーターを見つけた
【プ】そんな事に関わったことはないけど、
思うに、簡単にいくだろう
太陽の元に観覧席を用意すればいいんだ
ハイウェイ61で!

(意訳 by きいうし)


日本語にすると、全くなんだかよくわからないけど、
言葉音の響きとか、メロディーとの流れで
とても60年代を象徴するような空気を醸し出している。

この曲をジョニー・ウインターが演奏すると、
またなんとも言えない良さがあるんだな。

比較のために、ボブ・ディランのオリジナル

youtu.be

それでもって、ついでだけど、
最後に、ジョン・レノンジョニー・ウインターに提供した曲
「Rock & Roll People」

1976年に発表したライブ版の演奏がとても良いので。
このアルバムタイトル「狂乱のライブ」(原題:Captured Live)から。
(なんという邦題なんだろう。間違っていないけど)

youtu.be

 

しかし、そのジョニー・ウインターは2014年7月に惜しくも亡くなる。

類稀な存在だった。
きっと、向こうの世界でもギター弾きまくっていることと思う。

 

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桜じゃないけど、今年2月に撮った梅の花

夜の桜は「夜桜(よざくら)」って言うけど、
夜の梅は「夜梅(よるうめ)」と言うらしい。

知らなかった。

夜梅(よるうめ)

夜梅(よるうめ)

今年も桜の季節がやってきた🌸

いつも桜の季節は天気との戦いである。
桜が咲く頃になると、天気も荒れる。
今年はそのタイミングが本当に悪かった。

それでもどんな状況であれ、桜は綺麗に咲くのである。

今年の桜

今年の桜

いつ見ても素敵

いつ見ても素敵

桜は川と相性抜群!

桜は川と相性抜群!

何でこんなに優雅な気持ちになれるのか?

何でこんなに優雅な気持ちになるのだろう?

桜の下を歩くっていいよね。

桜の下を歩くっていいよね。

コントラストが良い

コントラストが良い

夜桜も趣がある。

夜桜も趣がある。

桜は橋とも相性が良い

桜は橋とも相性が良い

そういえば、一年前にも、桜の記事書いていた。

kiiusi.hatenablog.jp

 

また、来年も楽しみにしているよ🌸🌸🌸

 

Aretha Franklin/A Natural Woman(ナチュラル・ウーマン)

初めてアレサ・フランクリンの歌声を聴いた時は衝撃的だった。

圧倒的な歌声で心を揺るがすという体験は、自分の心に大きく刻まれた。
今でも「ソウルの女王」の称号は揺るがないと思う。

その感覚を言葉で表現するのはとても難しいが、
単に歌唱力で感動させるだけではなく、
歌声の奥深くに、彼女が体験してきた様々な過酷な思いも重なり、人間的な深みを感じる。

アレサが活動した時代は激動の時代である。

黒人差別や男女平等が大きく問題視される中、
虐げられてきた人々への解放を願い、それを歌にも込めている。

黒人差別が横行している街でのコンサートでは、
ステージ上では白人の聴衆が惜しみない拍手を与えているのに、
ステージが終わるとスタッフはレストランで食事ができるが、
アレサは黒人ということでレストランに入れず、ツアーバスで食事をする、
というエピソードを聞いた事がある。

ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガーで第1位となり、
グラミー賞にノミネートされること44回、そのうち受賞は18回。
女性として初めてロックの殿堂入りも果たしている。

惜しくも2018年8月に膵臓がんのため亡くなったが、
その歌声は間違いなく歴史に刻まれ、伝えられてゆくだろう。

今回のテーマ曲は、
キャロル・キングがそのアレサ・フランクリンのために書き下ろした曲。

正式な曲名は『  (You Make Me Feel Like) A Natural Woman 』

日本語タイトルでは「ナチュラル・ウーマン」となっているが、
原題ではサブタイトルが括弧付きで入っている。

(You Make Me Feel Like)という部分が実は重要なのである。

この曲は、
キャロル・キングとジェリー・ゴフィンによる共同作品で、1967年に発表され、
アレサの代表的な1曲ともなっている。

後にキャロル・キングも1971年のアルバム『つづれおり(Tapestry)』のラストで
セルフ・カバー収録している(このアルバムはまた超名盤)。

曲の内容は、めちゃくちゃ要約すると、

また明日が来ると考えると
とても憂鬱な気分で過ごしていた
あなたに出会うまでの人生は

あなたに出会い
側にいてくれることで
わたしは希望を持ち
素直な本当の自分に戻ることができる

(要約 by きいうし)


サビは同じシンプルなフレーズなのだが、
ここには大きなたくさんの意味が込められていてる。

You make me feel
You make me feel
You make me feel like a natural woman

あなたは感じさせてくれる
あなたは認めてくれる
わたしはありのままで、そのままでいいんだって

(和訳 by きいうし)


なんと素敵なフレーズだろう。

You make me feel like a natural woman
あなたがいると、いつも自然な自分になれる

(和訳 by きいうし)


キャロル・キングの2015年度ケネディ・センター名誉賞授賞式で、
アレサ・フランクリンがサプライズで登場し、
ナチュラル・ウーマン」を、
圧倒的な歌唱力で歌い上げるステージはとても素晴らしいので紹介。

youtu.be

 

映像では、オバマ大統領の横でキャロル・キングが狂喜乱舞している様子が見られる。
名曲と名歌手が合体すると、これほどまでに素晴らしい作品となるのだと、
このパフォーマンスが証明してくれている。

自分が提供した曲を自分の受賞セレモニーで、
最高の歌手が目の前で歌っているのだから、キャロル・キングがこれほどまでに、
狂喜乱舞するのもわかるけど(でもちょっとやり過ぎな感じも・・・)、

しかし何度見ても感動ものである。

アレサ・フランクリンを超えるシンガーはこの先なかなか出てこないであろう。

 

今日の桜はまだ蕾だったけど

今日の桜はまだ蕾だったけど

一気に花開くことでしょう

一気に花開くことでしょう