BOB DYLAN/Positively 4th Street(寂しき4番街)

1965年にアルバム『 Highway 61 Revisited 』(追憶のハイウェイ61)のレコーディングセッションで録音されたボブ・ディランの曲。

このアルバムには収録されなかったが、後にシングル版で発表され、
アルバムとしては、『 Bob Dylan's Greatest Hits 』(ボブ・ディランのグレイテスト・ヒッツ)のベスト盤に収録された。

『追憶のハイウェイ61』というアルバムは、ディランがアコースティックからエレクトリックにサウンドを転換した時期の歴史的名盤である。
あの超有名な名曲『 Like a Rolling Stone 』(ライク・ア・ローリング・ストーン)が収録されているアルバムでもある。

この時のディランは、今では信じられないだろうけど、世間は「フォーク派」と「ロック派」の対立のようなものがあって、それまでのディランは「フォーク派」とされていたから、ロックサウンドに対して、裏切り者呼ばわりされていた時代である。

ディラン本人は、元々フォークとかロックとか、ジャンルにこだわること自体が無意味だと思っていたわけで、その時の心境が曲作りにも如実に表れている。

それでこの『寂しき4番街』。

『ライク・ア・ローリング・ストーン』もそうだけど、
ディランの辛辣なメッセージが目一杯込められている。

このような歌作りはこの時代、相当斬新なものだったと思うし、
こんな歌を作る人は今までいなかったのだと思う。
だから、世間の反応は批判的な人と好意的な人とが別れて論争になり・・・
メロディーとサウンドはとてもポップでロックでカッコいいんだけど。

『ライク・ア・ローリング・ストーン』同様に、
アル・クーパーハモンドオルガンが凄くいい味出している。

ちなみにアル・クーパーはゲスト見学者として、このレコーディングの時に呼ばれたらしいのだが、
なんとかこのレコーディングに参加したいと思い、
ギタリストとして呼ばれたことにして、早めにスタジオ入りして、
アル・クーパーは元々ギタリスト)
勝手にギターの電源を入れていたところ、ディランがギタリストを連れてきちゃって、
そのギタリストはマイク・ブルームフィールドだったから、
ギターのテクニックでとても勝ち目がないと思い、意気消沈して引き上げたと。

だけどレコーディングが進んでゆく中、オルガンパートが空いたので、
チャンスだと思い、ほとんどオルガンを弾いたことなかったにも関わらず、
強引に「いいフレーズが浮かんだんだ!」と参加しちゃったらしい。
(本当は何も浮かんでいなかったらしいが・・・)

プロデューサーのトム・ウィルソンからは「お前はギタリストだろ! 何やってるんだ!」とも言われたらしいが、
この時代の良さというのか、そんな状況でもそのままレコーディングは進んでいき、
『ライク・ア・ローリング・ストーン』のセッションが始まった。

そのプレイバックを聞いていたディランは、「オルガンの音を大きくしてみて」と言い、
ウィルソンは「それを弾いているはのオルガン・プレイヤーじゃない!」と。

しかしディランは「そんなことは構わないから、大きくしろ」と。

 

結局、このクーパーが弾くオルガンが歴史的名曲の誕生に繋がる。
正式にレコーディングメンバーとなっちゃったわけである。

運命ってわからないものだね。

今だったら、クーパーはスタジオから放り出されていたかもしれない。
でも、この時代はそんなことはしないんだよね。
ディランも、誰が弾いているかなんてことより、
そのサウンドがいいかどうかだけで判断している。

『 Like a Rolling Stone 』(ライク・ア・ローリング・ストーン)については、
これまた曲にまつわるエピソードが沢山あるので、また別の機会に。


というわけで、『 Positively 4th Street 』(寂しき4番街
この曲では、そんなアル・クーパーのオルガンが前面に出ていて、
本当にカッコいい。

この曲の内容は、

自分に利点がある時だけ友達のふりして近づいてくる人に対しての、
皮肉いっぱいで辛辣なメッセージである。

ディランの周りにはこのような取り巻きたちが数多くいたのだと思う。

冒頭の歌詞がこれまた凄い。

You got a lotta nerve
君は図太い神経しているな

To say you are my friend
僕の友達だと言うけど

When I was down
僕が落ち込んでいた時

You just stood there grinning
それを見てニヤニヤしていたくせに

(和訳 by きいうし)

そして後半では

君が色々と不満を抱いていることはわかっているけど、
一度でいいから立場を逆にしてみてよ、
そうすれば自分を見てどれだけうんざりするのかわかるから

(要訳 by きいうし)

と。

でも、とっても良い曲である。これもまた名曲。

youtu.be

 

この曲タイトル原題は『 Positively 4th Street 』なんだけど、
なぜこれが邦題だと「寂しき4番街」になるのかずっとわからなかった。
なんとなくイメージはできるけど、『 Positively 』という意味合いが
自分のつたない英語力では難しい。

「間違いなく」とか「全く」「当然」とか、強調する時に使われるみたいだけど、
4番街での象徴的な出来事」みたいな感じなのかな。
だとすると、この曲全体のメッセージからして、「寂しき」となるのか。
うまい訳だな。

ならば ChatGPT に聞いてみよう。
早速質問。

ボブ・ディランの曲「Positively 4th Street」の和訳が「寂しき4番街」になるのは何故?

「Positively 4th Street」は、ボブ・ディランが1965年に発表した曲で、批判的な歌詞が特徴的です。歌詞は、ダサい友達や裏切り者に対する皮肉や怒りを表現しています。

「4th Street」というフレーズは、ニューヨークのマンハッタンにある4番街を指しています。この曲は、ディランがニューヨークに住んでいた時期に書かれたものであり、ニューヨークの音楽シーンや文化に対する彼の見解を表現しています。

「Positively 4th Street」の和訳が「寂しき4番街」となるのは、おそらく翻訳者の解釈によるものでしょう。英語の"positively"は、肯定的な意味を持ちますが、日本語の「寂しい」は、否定的なイメージを持ちます。そのため、翻訳者は曲の批判的な雰囲気を反映させるために、このような和訳を選んだのかもしれません。

しかし、正確な意味としては、「Positively 4th Street」は「絶対に4番街」といった意味合いがあります。つまり、ディランが自分の意見や感情を断言するという意味が込められています。

(ChatGPTの回答より)

こういう質問には使えるんだね。やるじゃん ChatGPT!

ChatGPT が「ダサい」という言葉を使ったことにちょっとビックリ。
「ダサい友達」というのがどういう意味で言ってるのかわからなかったので、
更に聞いてみた。

ダサい友達ってどういう友達?

「ダサい友達」というフレーズは、ボブ・ディランが「Positively 4th Street」の歌詞で使用した表現です。このフレーズが何を指しているのかは明確には書かれていませんが、歌詞全体を通して、裏切りや不誠実な行動を取る人々について歌われていることがわかります。

歌詞の中で、ディランは誰か特定の人物を批判することはなく、広く社会的な不満を表現しています。彼は、偽善的な人々や、自分自身を上から目線で見下す人々について歌っています。したがって、「ダサい友達」がどのような人物を指しているのかについては、特定できない部分があります。

ただし、一般的に「ダサい友達」という表現が指すのは、単に見かけや行動がかっこ悪いと思われる友人のことを指します。しかし、この曲では、それ以上に、裏切りや不誠実な行動を取る人々に対する批判的な歌詞が歌われています。

(ChatGPTの回答より)

おお、こういう質問にはまともな回答が戻ってくるのだね。
ちょっと見直したよ ChatGPT。

 

雲と太陽

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