ジョニー・ウインター/Highway 61 Revisited(追憶のハイウェイ61)

ギブソン・ファイアーバードがこれほど似合うギタリストはいない。

gibson.jp

「100万ドルのギタリスト」と呼ばれ1969年にデビューしたジョニー・ウインター

彼の独特なギタープレイは親指にサムピックを付けて演奏するスタイル。
ピックを使わないギタリストはたまにいるけど、
例えばジェフ・ベックマーク・ノップラーとか。

サムピックとは、主にアコースティックギターアルペジオ演奏で親指に付けるピックだけど、
これをエレキギターで使っているギタリストは珍しい。
そんな演奏スタイルから飛び出してくるのは凄いギタープレイ。

彼のライブはいつも最初から最後まで全力疾走で進んでゆく。
普通ライブは長時間だから、途中にバラードなどを混ぜて一息つかせたりするのだが、

ジョニー・ウインターにバラードの文字はない・・・

それでも、最初から最後までリスナーを引き込んでしまうのだから、やっぱり凄い。
ただ、体力使うけど、、、

そんな激しいライブだけど、聴き終わった後には何か爽快感というか、
どこかハイになっているのかもしれないけど、
後味は解放感というか、妙にすっきりしているから不思議だ。

彼は様々なミュージシャンのカバーを多く演奏しているけど、
その中でボブ・ディランの「追憶のハイウェイ61」は代表曲のひとつ。
これがまたカッコいい。

youtu.be

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「追憶のハイウェイ61」とは、
1965年にアルバム『 Highway 61 Revisited 』(アルバム名と曲名は同じ)に収録されているボブ・ディランの曲。

1992年10月16日、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで行なわれた
ボブ・ディランのデビュー30周年を祝う伝説のトリビュート・コンサート、
通称「BOBFEST」(ニ―ル・ヤングが名付けたらしい)。

ここにジョニー・ウインターが登場するのだが、
颯爽と登場して「追憶のハイウェイ61」を全力で演奏して、
風のように去ってゆく・・・
これがまた言葉にならないくらいカッコいい・・・

「Revisited」とは「再訪」を意味するらしく、
意訳すると、

「またハイウェイ61に戻ってきた!」とか、
「やっぱりハイウェイ61だ!」って感じかな。

アメリカにとって、「ハイウェイ61」とは、
数々の物語がある、とても思い入れの強い国道らしい。

ミネソタ州からルイジアナ州まで南北に走る主要幹線道路で、全長約3,000kmの国道。
この道路沿いで、ブルースやロックのアメリカン音楽が発展し、
アメリカ音楽文化にインスピレーションを与えてきたシンボルでもある。

ロバート・ジョンソンは61号線と49号線の交わる十字路で悪魔に魂を売り渡して、
音楽の才能を身に付けたという「クロスロード伝説」。
映画にもなっているし、ロバート・ジョンソンの曲「クロスロード」を、
エリック・クラプトンがクリーム時代にカバーしていたりする。

ベッシー・スミスは「ハイウェイ61」で交通事故で亡くなり、
(搬送された病院が白人専用とのことで拒否され亡くなってしまう)

マーティン・ルーサー・キングは「ハイウェイ61」にあるモーテルで殺害され、
(ひとつの時代の変わり目となった)

エルヴィス・プレスリーの邸宅(グレイスランド)は「ハイウェイ61」沿いにある。
Googleマップで確認したら、正確には51号線沿いだけど・・・
 まあ、隣の幹線ということで)


そして、この曲の歌詞の内容について。

この曲では一見関係ない物語が次々と語られ、
全体で見るとなんだか繋がっている? いや、繋がっていないのか?
不可思議なディランお得意の歌詞で、ブルースロックテイストで演奏される。
意味というよりは、言葉のイメージとサウンドで組み立てられている曲である。
言葉のセンスだよね。

歌詞は5番まであり、ひとつひとつの物語が完結? して、
最後に「ハイウェイ61」で締めくくるという、ある意味ナンセンスな歌詞。

神とエイブラハムとの会話

【神】お前の息子を生贄に差し出せ
【エ】お前さん、私をからかっていますか?
【神】違う!
【エ】何て?
【神】お前の望むことができるぞ
だけど、次に会ったら逃げた方がいい
【エ】どこで生贄にすればいいのでしょう?
【神】ハイウェイ61の外れだ!

(意訳 by きいうし)

ジョージア・サムとハワードとの会話

赤鼻のジョージア・サムは、
福祉局からは衣服をもらえず、
ハワードに尋ねる。
【サ】俺はどこに行けばいいんだろう?
【ハ】一つだけ知っているさ
【サ】早く教えてくれ、もう行きなきゃならない
ハワードは銃で差して
【ハ】あそこだよ、ハイウェイ61だ!

(意訳 by きいうし)

マック・ザ・フィンガーとルイ王との会話

【マ】40本の赤白青(トリコロール)の靴紐と、
1000台の鳴らない電話があるけど、
それを捨てる場所を知っているかい?
【ル】少し考えさせろ
【ル】わかった、あそこなら簡単だ。
ハイウェイ61に持ってゆけばいい!

(意訳 by きいうし)

娘と父の会話

5番目の娘が12夜に1番目の父に尋ねる
【娘】私の顔色、とっても白過ぎるの
【父】こっちの明るいところに来なさい
【父】そうだな、確かにな
2番目の母にもう終わったと伝えておくよ
しかし、2番目の母は7番目の息子と
ハイウェイ61にいた!

(意訳 by きいうし)

ギャンブラーとプロモーターの会話

さすらうギャンブラーはとても退屈していた
次の世界大戦を仕掛けようかと
彼は落ちぶれたプロモーターを見つけた
【プ】そんな事に関わったことはないけど、
思うに、簡単にいくだろう
太陽の元に観覧席を用意すればいいんだ
ハイウェイ61で!

(意訳 by きいうし)


日本語にすると、全くなんだかよくわからないけど、
言葉音の響きとか、メロディーとの流れで
とても60年代を象徴するような空気を醸し出している。

この曲をジョニー・ウインターが演奏すると、
またなんとも言えない良さがあるんだな。

比較のために、ボブ・ディランのオリジナル

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それでもって、ついでだけど、
最後に、ジョン・レノンジョニー・ウインターに提供した曲
「Rock & Roll People」

1976年に発表したライブ版の演奏がとても良いので。
このアルバムタイトル「狂乱のライブ」(原題:Captured Live)から。
(なんという邦題なんだろう。間違っていないけど)

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しかし、そのジョニー・ウインターは2014年7月に惜しくも亡くなる。

類稀な存在だった。
きっと、向こうの世界でもギター弾きまくっていることと思う。

 

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桜じゃないけど、今年2月に撮った梅の花

夜の桜は「夜桜(よざくら)」って言うけど、
夜の梅は「夜梅(よるうめ)」と言うらしい。

知らなかった。

夜梅(よるうめ)

夜梅(よるうめ)