Aretha Franklin/A Natural Woman(ナチュラル・ウーマン)

初めてアレサ・フランクリンの歌声を聴いた時は衝撃的だった。

圧倒的な歌声で心を揺るがすという体験は、自分の心に大きく刻まれた。
今でも「ソウルの女王」の称号は揺るがないと思う。

その感覚を言葉で表現するのはとても難しいが、
単に歌唱力で感動させるだけではなく、
歌声の奥深くに、彼女が体験してきた様々な過酷な思いも重なり、人間的な深みを感じる。

アレサが活動した時代は激動の時代である。

黒人差別や男女平等が大きく問題視される中、
虐げられてきた人々への解放を願い、それを歌にも込めている。

黒人差別が横行している街でのコンサートでは、
ステージ上では白人の聴衆が惜しみない拍手を与えているのに、
ステージが終わるとスタッフはレストランで食事ができるが、
アレサは黒人ということでレストランに入れず、ツアーバスで食事をする、
というエピソードを聞いた事がある。

ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガーで第1位となり、
グラミー賞にノミネートされること44回、そのうち受賞は18回。
女性として初めてロックの殿堂入りも果たしている。

惜しくも2018年8月に膵臓がんのため亡くなったが、
その歌声は間違いなく歴史に刻まれ、伝えられてゆくだろう。

今回のテーマ曲は、
キャロル・キングがそのアレサ・フランクリンのために書き下ろした曲。

正式な曲名は『  (You Make Me Feel Like) A Natural Woman 』

日本語タイトルでは「ナチュラル・ウーマン」となっているが、
原題ではサブタイトルが括弧付きで入っている。

(You Make Me Feel Like)という部分が実は重要なのである。

この曲は、
キャロル・キングとジェリー・ゴフィンによる共同作品で、1967年に発表され、
アレサの代表的な1曲ともなっている。

後にキャロル・キングも1971年のアルバム『つづれおり(Tapestry)』のラストで
セルフ・カバー収録している(このアルバムはまた超名盤)。

曲の内容は、めちゃくちゃ要約すると、

また明日が来ると考えると
とても憂鬱な気分で過ごしていた
あなたに出会うまでの人生は

あなたに出会い
側にいてくれることで
わたしは希望を持ち
素直な本当の自分に戻ることができる

(要約 by きいうし)


サビは同じシンプルなフレーズなのだが、
ここには大きなたくさんの意味が込められていてる。

You make me feel
You make me feel
You make me feel like a natural woman

あなたは感じさせてくれる
あなたは認めてくれる
わたしはありのままで、そのままでいいんだって

(和訳 by きいうし)


なんと素敵なフレーズだろう。

You make me feel like a natural woman
あなたがいると、いつも自然な自分になれる

(和訳 by きいうし)


キャロル・キングの2015年度ケネディ・センター名誉賞授賞式で、
アレサ・フランクリンがサプライズで登場し、
ナチュラル・ウーマン」を、
圧倒的な歌唱力で歌い上げるステージはとても素晴らしいので紹介。

youtu.be

 

映像では、オバマ大統領の横でキャロル・キングが狂喜乱舞している様子が見られる。
名曲と名歌手が合体すると、これほどまでに素晴らしい作品となるのだと、
このパフォーマンスが証明してくれている。

自分が提供した曲を自分の受賞セレモニーで、
最高の歌手が目の前で歌っているのだから、キャロル・キングがこれほどまでに、
狂喜乱舞するのもわかるけど(でもちょっとやり過ぎな感じも・・・)、

しかし何度見ても感動ものである。

アレサ・フランクリンを超えるシンガーはこの先なかなか出てこないであろう。

 

今日の桜はまだ蕾だったけど

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一気に花開くことでしょう

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