「テネシーワルツ」と「ChatGPT」

スタンダードナンバーの「テネシーワルツ」(Tennessee Waltz)。

今まで自分はあまり興味のない曲だったのだけど、
Reina del Cid(レイナ・デル・チド)の演奏を聞いたところ、とても興味が湧いてきた。
彼女たちの演奏はとても良い。
特にトニのギターは本当にいつも最高。

youtu.be

テネシーワルツ」とは、1948年に生まれた曲で、
1950年にパティ・ペイジのカバー曲がマルチミリオンセラーになったとのこと。
それ以来、数多くのミュージシャンがこの曲を演奏してきた。
このペイジ版は、『ビルボード』誌のポップ・チャートで、9週連続第1位を獲得し、計30週チャートにランクイン、とのことなので、その凄さがわかる。
日本では江利チエミの「日本語と英語のチャンポン」で歌ったものが有名。
だけど、この日本語訳は本来の曲の意味とはちょっと違うと思う。

よくよくこのオリジナルの歌詞を読んでみると、
まあ、実はなんというかとっても残酷な歌で、
自分なりに簡単にまとめてみると、

愛する彼とテネシーワルツで踊っていたら、
そこに旧友がやってきたのが見えたので、彼を紹介した。
すると、彼女と彼は二人で踊り出し、
彼女は彼を自分から奪っていった。

あの夜とテネシーワルツを思い出すたびに、
今になって、失ったものの大きさを感じる。
あの美しいテネシーワルツと共に。

(要訳 by きいうし)

こんな感じかな。

悲しい内容ではあるのだが、
実は今も昔も変わらずに、世界共通このような出来事は訪れるもの。
魅力的なメロディーと共に、
この曲はずっと歌い続けられてゆくだろう。

シンプルなだけに、様々な思いが頭をめぐる。

「実は早く彼と縁を切れたことはその後の人生にとって良かったのでは?」

とか。

「彼はその後も別の女性を見つけて、また別れたんじゃないだろうか?」

とか。

それとも、

「奪っていった友達と彼はとても相性が良く、結果的にはお似合いだったのでは?」

などなど。

聞く人のそれまでの体験や、想像力によって、
色々とイメージが膨らんでしまうみたいだ。

実際にこの曲はテネシー州の州歌になっているとか。
本当に?
恋人と一緒にテネシー州に行きたくなくなりそうだけど。

My friend stole my sweetheart from me
「私の友達は愛する彼を私から盗んでいった」

(和訳 by きいうし)

Now I know just how much I have lost
「今、本当にわかる。自分がこんなにも大きなものを失ったのだと」

(和訳 by きいうし)

この2行がなんというかとても心に刺さるフレーズである。

ということで、
試しに、ChatGPT で、歌詞の意味や、和訳をしてもらったりしたのだけど、
なんだか、とても違和感のある回答だったので、
改めて「テネシーワルツの伝えたいことは?」と聞いてみたら、

テネシーワルツ」の歌詞は、失恋の悲しみを表現しており、愛する人と踊ることができない寂しさや切なさを描写しています。しかし、主人公は最後に「テネシーワルツ」の音楽を聴くことで自分の気持ちを紛らわせることができるという希望を見出し、悲しみを乗り越えようとする姿勢が表現されています。この曲は、失恋や別れといった人生の悲しい出来事を経験する多くの人々にとって、励ましとなる歌として愛されています。
(ChatGPT の回答より)

と返ってきた。

なんか、自分がこの曲から感じたものと随分違うんだけど?

テネシーワルツ」で自分の気持ちを紛らわせる? 無理だろ。
主人公は最後に希望を見出した? 本当に?
人生の悲しい出来事を経験する多くの人の励ましの歌になっている? 本当に?

そこまでこの曲から自分には聞き取れなかったけど。

やっぱりChatGPT はまだまだ何かかが大きく足りない気がする。


でもって、こんな質問もしてみた。

「奪っていった友達と彼はその後幸せになったのかな?」

すると、

「奪っていった友達と彼」がどのような状況であるか具体的にはわかりませんが、一般的に言えることは、他人の幸せや不幸に関しては、その人自身が直接的に影響を与えることはできないということです。他人の幸せや不幸に対する考え方や感情は、人それぞれ異なりますし、過去に起こったことに対して現在幸せかどうかを判断することも難しいです。重要なのは、自分自身が幸せになることを目指し、過去の出来事を乗り越え、前向きに未来を切り拓くことだと言えます。
(ChatGPT の回答より)

・・・ なんと言っていいか。
根本的なことが違い過ぎるような気がした。

ちょっと当分、ChatGPT には、歌詞について聞くのやめようと思う。

これから人工知能(AI)はもっと進化してゆくのだろうけど、
自分達の問題として、大きな転換期であることは間違いない。

検索の仕方が大きく変わる。

今までは、Google検索とかでいかに早く正確な回答を得られるのか?
というキーワード検索のコツが重要だったけど、
これからは、より具体的に質問内容を正確にまとめてシンプルに相手に伝えられるか?
という能力が試される様な気がする。

考えてみれば、これってコンピューター相手に限らず、
人と人との会話でもそうだよね。
自分の言葉が足りず説明不足だったために、
思っていたことと違う反応が相手からあったとか。

AIが怖いのは、人が相手だったら、
「言ってることがわからないよ?」とか、
「それは本当はこういうことを言いたいのでは?」という反応も返ってきそうだが、
AIはとりあえず、何か回答を出してきてしまうこと。

 

ほんの少しのズレが大きな悲劇に繋がらなければと思う。

昼間の月はなんだか好き

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