『 The Man in Me 』(ザ・マン・イン・ミー)

1970年に発表されたボブ・ディラン
『 The Man in Me 』(ザ・マン・イン・ミー)という曲。
1998年のコーエン兄弟監督の映画『ビッグ・リボウスキ』に使われていた。

この映画、コーエン兄弟のウィットに富んだ見事な展開で大好きなのだが、
映画で流れてくるこのディランの「ザ・マン・イン・ミー」が、
自分にとっては感動もので、この歌声だけでノックアウトされる。

Bob Dylan - The Man in Me (Official Audio)

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普段、あまり日の目を浴びない曲で、
ディランもライブではほとんど歌うことのない曲でもある。
(自分はいい曲だと思うんだけど)
コーエン兄弟がこの曲を映画に採用したセンスがとてもいい。
アルバム『 New Morning 』(新しい夜明)のB面4曲目に収録されている。

この曲を映画のシーンに合わせた映像があったので。
ビッグ・リボウスキ』もいい映画なので、観ていない人は是非。

The Big Lebowski - Dream Sequence One

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そして、またちょっと前置きだが、
このアルバムを出す前のディランは、なぜかカントリー音楽に傾倒していて、
それまでの歌い方とは全く違い、「澄んだ声!!」で歌うディランが登場する。

この時発表されたアルバム
『 Nashville Skyline 』(ナッシュヴィルスカイライン)のカバー写真では、
カントリーハットに手をかけて、なんとカメラ目線でニコッと微笑んでいる‼︎!
(それまでのディランファンは複雑な心境だったと思う)
微笑むディランは、非常に珍しい。

アメリカン・カントリー音楽の大御所、ジョニー・キャッシュに気に入られて、
『 Nashville Skyline 』(ナッシュヴィルスカイライン)の1曲目で、
『 Girl from the North Country 』(北国の少女)でデュエットしている。

この「北国の少女」はディラン2枚目のアルバム
『 The Freewheelin' Bob Dylan 』(フリーホイーリン・ボブ・ディラン)に収録されているセルフカバーである。

ジョニー・キャッシュは本当にこの時、ディランが大のお気に入りだったようで、
当時の二人で演奏する映像が沢山残っている。

Bob Dylan & Johnny Cash Perform "The Girl From The North Country" from the Johnny Cash Show (Edited)

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アメリカンミュージックにおいて、ディランとカントリー音楽の融合は、
それまで分離していたそれぞれのファン層を、
互いに繋ぐ大きな役目をしたような気がする。

その後、『 Self Portrait 』(セルフ・ポートレイト)という
他人の曲のカバー中心のアルバムを出した後、
いつもの歌い方に戻って発表したのが、
この『 New Morning 』(新しい夜明)。

ディランにとって、カントリー音楽も吸収しての、
新しいスタートだったのかも。

アルバム「新しい夜明け」で有名な曲は、
A面1曲目の『 If Not for You 』(イフ・ナット・フォー・ユー)で、
ジョージ・ハリスンに提供した曲である。
後、オリビア・ニュートン=ジョンのデビュー曲でもある。
(なんでこの曲選んだのか?)

そして、今回のテーマB面4曲目。
『 The Man in Me 』(ザ・マン・イン・ミー)の話に戻ろう。

ディランにしては珍しく、
イントロで「ラララ…」と歌っていたりするのだが、
メロディーも結構ポップだし、
ディランの歌い方が本当に妙にカッコいい。

曲の内容は、自分の中の自分を見つめるラブソングという感じで、
ディランお得意の聴く人によって解釈が変わりそうな歌詞は、
説明しづらいけど、ちょっとシュールな雰囲気。

そう、一応ラブソングだよね?

自分の中のもう一人の男は何でもこなせる。
だけどその見返りに要求するんだよ、
このもう一人の男と上手くやるためには、
君の様な女性が必要なんだって。

(要訳 by きいうし)

こういう表現法、ディランならでは、さすがです。

ということで、好きな女性がいる男性達、
『 The Man in Me 』(ザ・マン・イン・ミー)一度聴いてみると良いよ。

今の時代、女性達も「 Man 」を「 Woman 」に置き換えて聴いてもいいかも。

 

 

もう一人の男

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