2007年1月9日(日本時間1月10日 午前3時頃)、歴史的瞬間が訪れた。
そう、今では皆当たり前に使っているスマートフォンの原型、iPhoneの発表である。
サンフランシスコのモスコーンセンターで開催されたMacworld 2007の基調講演で行われた。
当時、これをリアルタイムで見たいが為に朝3時前に起きて、今では考えられないくらい遅いインターネットに繋いだ記憶がある。
もちろんまだ字幕や翻訳はなく、英語での視聴だったが、有志の方が自分のサイトで日本語の文字起こしをしてくれていたりして、その両方を見比べながら、、、なんてことやっていた。
その時の動画は今は数多くインターネットで見られるけど、改めて今見てみると、
ジョブズのプレゼンの上手さもさることながら、この時の感動が蘇ってくる。
それに、基本操作が今のiPhoneとほとんど変わらないというのが、いかに素晴らしいインターフェイスを作り上げたのかってこと。
ジョブズの魂が込められた製品は今も受け継がれている。
ジョブズはいつもそうだったけど、
自ら新製品の動作をさせながら説明しプレゼンを行う。
企業のトップがこんなことする会社ってほとんどないと思う。
失敗する可能性もあるんだから。
でもそのリスクを承知でジョブズは自ら製品紹介をする。
自分が生み出した子供たちをワクワクしながら紹介する姿に、聴衆は感動するのである。
実はこのプレゼンテーションは、ある意味賭けに近い形で行われたらしく、100回近く行われたリハーサルでは、失敗の連続で、その度ジョブズはスタッフに「お前はクビだ!」と怒鳴り散らしていたらしい。
最もそういうジョブズの姿勢はいつものことであるのだけど。
その準備は相当なものとなり、スタッフが一丸となって作り出したその賜物だった。
ジョブズの「初代iPhone発表会」が大博打だったワケ | AppBankwww.appbank.net
この記事に載っているように、実はこの時点でiPhoneはまだ開発途中で、バグも多くあり、最適化されていないアプリを使うとクラッシュしたりするのだとか。
なので、アプリを使う順番とかなるべく動作不良しない手順をあらかじめ用意しておき、万が一のために、複数のデモ機を用意して、問題が起きたらすぐに切り替えられるようにとか、「ゴールデンパス」と呼ばれる手順マニュアルも用意しておき、失敗の可能性を最小限にするべく、とにかく万全の体制を作っていた。
無線ソフトにも問題があり、無線がクラッシュして再起動した時に観客に気づかれないように、実際の電波強度や無線の状態にかかわらず、常にアンテナが5本立って見えるように細工したとか。
不安定なWi-Fi接続のリスクを少しでも減らすため、AirPort(日本ではAirMac/AppleのWi-Fiルータ)の周波数をアメリカでは許可されていない日本の周波数で動作するように変更し、参加者が会場に持ち込むWi-Fi機器からのハッキングを回避したとか。
その他も様々な問題がある中、いかにプレゼンテーションを無事に成功させるかというミッションを与えられた当時のスタッフは相当大変だったと思う。
そして、iPhone発表のプレゼンテーションは見事に無事成功した。
そのような裏の事情も知りながら、改めてこの時の映像を見ると、感動はひとしおである。
このような歴史的瞬間に少しだけでも共有できたことは、なんて幸せなんだろうって思う。